教育・福祉・医療施設などにアーティストが出向く演奏や
音楽を題材にした活動、音楽を通して生まれるつながりや気づきを創出する場は
現代の多様なニーズの中で、需要が増えています。
そうした活動を昨今では、社会貢献(ソーシャル・エンゲージメント)、社会包括(ソーシャル・インクルージョン)と呼ぶこともありますし、
アウトリーチという総称で表すこともあります。
演奏の場を広げ聴衆を増やすことだけを目的とせず、
音楽を紐解き、理解を深める場や
社会にプラスの変化をもたらすエネルギー、
さらにはコミュニティの活性化も視野に入れた活動は
音楽家の仕事にも多様性をもたらしています。
「音楽キャリア実践」の一環として、学生企画や講座を用意しています。
音楽キャリア実践講座2
在学中に知っておきたい
つながる「音楽ワークショップ」の秘密
〜多文化共生社会で活かせる音楽家の感性にせまる〜
2024年11月12日(火)
17:40-19:10 仙川H223教室
ワークショップとは・・
参加者が自ら体験し、共同で何かを
学び創造する場と手法のこと。
現代社会のニーズに、音楽を介して
深く関わる実践について伺います。
シンプルだけど奥が深い音楽ワークショップの世界。
この講座では、講師が実際にインクルーシブな環境で実践している音
楽ワークショップを紹介します。
自分の感性や自分らしさを活かして、まずは無理なくどんな関わり方
ができるのか、体験を通して楽しく探究しましょう。
芸術に関わる者として、自他理解を深め、社会課題にも意識を向ける
機会となります。
講師:南條 由起氏
(なんじょう ゆき)氏
ヴァイオリニスト
一般財団法人生涯学習開発財団
認定ワークショップデザイナー
社会教育士
東京藝大附属高校、同大学卒、同大学大学
院修了。英国王立音楽院大学院修了
(DipRAM称号)。留学中、Sir Colin Davis
指揮のもとコンサートマスターを務めた。
LSOの公演に出演し研鑽を積む。かながわ音楽コンクール第1位、県知事賞他、多数受賞。神奈川フィル他と共演。ソロをはじめ室内楽、オーケストラのゲスト首席奏者として、多様なジャンルのコンサート、録音などの演奏活動を行う。インクルーシブな音楽ワークショップを設計・実践し、教育研究機関にゲスト講師として招かれ人材育成にも携わる。
音楽キャリア実践講座1
演奏家として地域に根差す!地域と生きる!
〜聴き手と感動を共有する意味やプログラム創りの奥儀まで〜
2024年11月6日(水)17:40-19:10
仙川H223教室
地域に根差す音楽活動とは?
地域社会に求められる演奏家とは?
演奏家の個性はどのように発揮されるべきでしょうか?
この講座を通して、ご一緒に考えていきましょう。
講師:田村緑氏(ピアニスト)
躍動感に満ち、情感溢れる演奏スタイルと、在英経験を活か
した独創的プログラムが注目され全国で活動を展開。普及の
分野では先駆者的存在。桐朋女子高校音楽科、英国ギルド
ホール音楽院卒業、ロンドン大学シティ校・修士課程修了。
IC ベートーヴェン・ピアノコンクール第1位。(一財)地域
創造・支援事業登録アーティスト。地域密着型の多彩な演奏
活動、全国の文化財団職員向け研修講師としても定評がある。
また、桐朋学園大学には2012年度以降たびたびアウトリー
チ講座の講師として招かれている。
学生企画 子供のための音楽会
どうぶつたちとおともだちになろう!
2024年7月28日
第一回:15時開演
第二回:16時30分開演
桐朋宗次ホール
弦楽器やフルート、クラリネット、ホルンなど様々な専攻の学生が、未就学児向けの企画を作ります。
監修のKarst De Jong氏による昨年の「即興演奏への招待」講座に参加した学生も含む、10人の違う楽器の奏者たちが、動物の謝肉祭やピーターと狼を使って、即興やアレンジを加えた特別プログラムを創ります。
音楽キャリア実践講座 vol. 2 「即興演奏への招待」
2023年度 11月28日(火)17:40-19:10
S212教室(演奏機会あり、ピアノ専攻の人以外はぜひ楽器をお持ちください)
即興は音楽を使った会話です。
皆さんが学んでいる理論が、楽曲とどう結びつくのか実践的に学ぶきっかけにもなります。
正しく再現することだけを追い求めるのではなく、自分の個性や創造性に触れる方法を見つけてみませんか。
通訳:大類朋美氏(ピアニスト)
講師:
カールスト・デ・ヨング氏(ピアニスト/作曲家/即興演奏家)
オランダでピアノと音楽理論を学ぶ。 これまでアムステルダム音楽院、ハーグ王立音楽院、
バルセロナのカタルーニャ高等音楽院(ESMUC)で、音楽理論を指導しながら、即興を含む演奏家、教育者、研究者として活躍。
また即興演奏のマスタークラスを各地の音楽院で展開している。
即興演奏スキルの重要性を強く信じ、ヨーロッパの主要な高等音楽教育機関 14 校による METRIC プロジェクトの創設に携わった。
また、ヨーロッパの高等音楽教育の即興演奏カリキュラム構築にも関わってきた。
2023年からはシンガポールのヨン・シュウ・トウ音楽院の正教授として音楽理論と即興演奏を教えるほか、
現地の創造的な共同プロジェクトに携わっている。ソロピアノで 2 枚の CD「Improdisiac 」をリリース。
即興といっても、その形や方法は様々・・・
講師のカールスト先生は、クラシックの演奏家にこそ即興に取り組んでほしいと強く願っています。
・自分の音を聞く、相手の音を聞く
・使われている音列や曲の構成について深く理解する
ということこそが、即興の基本になり得るからです。
即興なんてやったことない!という人も気軽にご参加ください。
音楽キャリア実践講座 vol. 1 「参加型コンサート、音楽ワークショップで広がる可能性」
2023年度 10月16日(月)17:40-19:10
S212教室(オンライン参加も可)
昨今、多くのコンサートで求められる"アウトリーチ"や"参加型コンサート"。
お客さまも参加して楽しむコンサートをつくるために必要なエッセンスを、音楽ワークショップを通して見つけてみましょう。
これまで300公演、約2万人に音楽ワークショップや参加型コンサートを届けてきたキャリアについて、クラシックを勉強したからこそ世界に広がった音楽活動についてもお話して頂きます。
講師:
桜井しおり氏
(本学ピアノ専攻卒業生、「おとみっく」共同プロデューサー、東京文化会館ワークショップ・リーダー)
桐朋学園大学音楽学部ピアノ研究科卒業。廻由美子、仲道郁代氏に師事。
卒業後は、音楽ワークショップ・アーティスト「おとみっく」を発足し、国内外問わず約300公演のべ2万人以上へ参加型コンサートや音楽ワークショップを届けている。近年は子ども向けコンサートの司会もつとめ、海外オーケストラとの共演やフェスティバルに出演し、国外での活動にも力を注いでいる。
2022年ポルトガルのアヴェイロ市にて開催された音楽フェスティバルPapagaio出演。ポルトガルと日本の文化交流を目的とした音楽ワークショップを実施。2023年在ポルトガルの日本大使館により国交480年記念プログラムとして認定。
令和5年度、芸術による子供育成推進事業(学校巡回公演)採択。
東京文化会館ミュージック・ワークショップリーダー。一般財団法人 地域創造「音楽活性化事業」コーディネーター。
2022年度 開催日程
アウトリーチ講座
<音楽・私・社会>を結んでみる〜『心をつなぐ』ミニライブの可能性
11月14日(月)17:40〜19:10【S212教室】※オンライン参加可(事前申込制)
※キャリア支援センターのGoogle Classroomおよび学生専用ページから録画および資料を確認できます。
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講師:高見秀太朗さん
一般財団法人 100万人のクラシックライブ
(本学ピアノ科卒業生)
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音楽は非言語によるコミュニケーションのツールです。
ツールを使うのには目的があります。
「音楽を学ぶ私」からちょっと視点を変えて、
音楽そのものの力や、社会からみた音楽の可能性について、
教育現場・地域コミュニティでの経験をもとに、
まだまだ模索中ではありますが、
一例としてお話できればと思います。
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音楽と社会を繋ぐ 新しいプログラムを目指して
11月22日(火)17:40〜19:10【S212教室】
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講師:酒井雅代さん
東京芸術大学大学院 国際芸術創造研究科 助教
(本学ピアノ科卒業生)
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音楽・身体表現・地域を結ぶ領域横断型プロジェクト、
「アトリエ・ムジタンツ」のメイキング。
ムジタンツが、どのようなチームで、
どのような創作過程を経てプロジェクトを実施しているのか。
裏話も含めてご紹介します。
また、桐朋を卒業した私が、なぜムジタンツに行き着いたのか。
ムジタンツの活動を通じて考える、音楽を共有する方法、
音楽が地域に貢献できる可能性についてお話しします。
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「2014年度アウトリーチ講座」 講座レポート
田村 緑先生(ピアニスト/HPはこちら)は、桐朋女子高等学校音楽科の卒業生です。
その後イギリスに留学されて、帰国後は(一財)地域創造の協力アーティストとして、全国津々浦々でコンサート及びアウトリーチ活動を展開していらっしゃいます。
前期3回の講座では、基本的な考え方から実際の自分なりのプログラム作り、そして実際に先生による模擬アウトリーチを体験しました。
「いちばん大事なのは個性ある演奏を通して音楽の感動を聴き手と分かち合うこと」という基本概念のもと、聴いている子供たちを音楽にひきよせるための手法や考え方を学び、一緒に考えた第一回。
自分の個性を活かせるプログラミングを、持ち寄って話し合った第二回。
そして第三回は、田村先生が小学五年生向けに普段行っているアウトリーチを実際に体験させてもらいました。
初心に返って「ピアノのひみつ」を発見し、曲についての想像を膨らませたり、最後にはハンドベルで共演したりと、
盛りだくさんながらも、あっという間の45分でした。
聴く人の感性の扉を開くこと、それがご自身にとってのアウトリーチの目的のひとつだと田村先生は話してくれました。
聴いた人が、もっと音楽を聴きたい!楽器を弾いてみたい!と思ってくれたらうれしいですよね。
また、違う分野でもがんばる気持ちが生まれて、例えば「スポーツに打ち込んでみよう」という子供が出てくるかもしれません。
それは「憧れ」にも近い気持ちの芽生え・・・そんな場を、どんどん増やしていけたらいいですね!